持続可能な装置としてのデザイン

2019.11.1

2016年の国連サミットでSDGsが採択されたこともあり
これからますますサスティナブルな生き方や
企業や社会の進むべき態度が問われる時代になっていくと思われます。
デザイナーのあり方も、ただ新しいものをつくればいいのではなく
これまでの資産を活かしながら、
誰もが持続可能な装置としてのデザインを
つくっていかなければならないのではないでしょうか。

2015年3月に北陸新幹線が金沢まで開通しました。
観光客が増え、その様子も全国メディアでたくさん取り上げられました。
金沢21世紀美術館の来館者数が増加するその一方で、
市内にある17の文化施設の来館者数が伸び悩んでいる問題も浮き彫りに。
1つの市に17もの文化施設があるのは、全国的にも稀で、
せっかくの資産をまとまりとして発信できないかという依頼がありました。
とは言え、行政の仕事は予算が潤沢ではありません。
一度の広告キャンペーンでどっと人が押し寄せても意味はなく、
それぞれの文化施設が連携し、継続していける施策が必要でした。
金沢のまちを改めて見直してみると、古いまち並みが残っていて
そこかしこで文化や歴史の香りがします。








金沢のまち並み

また、まちのサイズもコンパクトで、
観光客はクルマを使わずに徒歩で散策しています。
それなら、金沢を訪れた人が自分の足を使って
文化施設を巡ってみたくなるようなものをつくれないかと発想したのです。
担当デザイナーはあるものに注目しました。
各施設にあるスタンプです。
よく山手線などで夏休みに親子づれがやっているスタンプラリーのように
それぞれの場所でスタンプを押して巡ってみたくなる
そんな施策ができないか。
スタンプがない施設にはホッチキスが新たにデザイン。
そして、スタンプを押し、スタンプ帖を持ち歩く姿も
金沢に馴染むものにしたいということで、
加賀友禅作家の吉本大輔さんに表紙のデザインをお願いしました。



ごミュ印帖 第一弾デザイン

1年間は市の事業でしたが、
2年目からは事業自体をホッチキスが運営しています。
1700部つくった第一弾のデザインもほぼ完売し、現在は第二弾のデザインに。











ごミュ印帖 第二弾デザイン

今後は全国の美術館のミュージアムショップにも置いてもらって、
よりたくさんの人に金沢の文化施設の魅力を発信しようと考えています。

(※ネットからの販売も行っています。http://store.booksunderhotchkiss.com/2)

詳しくはこちら

News